Claude Code・Codex・Hermesを比較する
モデル、機能、そして「エージェントとしての性格」の違い
AI駆動開発では、単に「どのLLMが賢いか」だけでなく、どのエージェント環境で、どのモデルを使い、どこまで自律的に仕事を任せられるかが重要になってきました。
現在、私が特に注目しているのが、
- Claude Code
- OpenAI Codex
- Hermes Agent
の3つです。
一見すると似ていますが、実際に使ってみると思想はかなり違います。
結論から言えば、
Claude Codeは「強力な開発エージェント」
Codexは「OpenAI系の実行型ソフトウェアエージェント」
Hermesは「モデルを選ばない汎用オーケストレーター」
という整理がしっくりきます。
Claude Code
Claude CodeはAnthropicが提供する、ターミナルを中心としたエージェント型コーディングツールです。
コードベースを自分で探索し、ファイルを書き換え、テストを実行し、Git操作まで行います。単なるコード補完ではなく、自然言語で「この機能を追加して」「原因を調べて直して」と頼むタイプの開発エージェントです。
現在の主要モデル
2026年10月時点では、Claude 5.5世代が中心です。
| モデル | 特徴 | 向いている用途 |
| Claude Opus 5.5 | 最上位。判断力・長時間作業・複雑なコードに強い | 設計、大規模改修、難しいデバッグ |
| Claude Sonnet 5.5 | 高性能かつ高速・低コスト | 日常的な開発、バグ修正、実装 |
| Haiku系 | 軽量・高速モデル | 大量処理、軽いタスク |
Claude Opus 5.5は、Anthropicが現在のOpus系で最も強力なモデルと位置づけており、大規模コードベースの長時間作業、Agent、専門業務を重点領域としています。API価格は100万トークンあたり入力4ドル、出力20ドルです。
一方のSonnet 5.5は、Opusより軽く高速です。Anthropic自身も「日常的なタスク、バグ修正、ドキュメントや資料作成」に強いモデルとして位置づけています。Sonnet 5.5はSonnet 5より30%以上高速化し、多くの処理で最大30%低コストになりました。
個人的には、普段使いならSonnet、難しい設計や原因究明ではOpus、という使い分けが非常に分かりやすいと思います。
Claude Codeの特徴
Claude Codeの強みは、モデル単体の賢さだけではありません。
コードベースを自分で探索し、
調査
↓
設計
↓
ファイル編集
↓
コマンド実行
↓
テスト
↓
修正
↓
Git操作
までを一連の流れとして実行できます。
主な機能は、
- ファイル編集
- コードベース全体の理解
- Bash/CLI実行
- テスト・lint
- Git履歴調査
- commit / PR作成
- Web検索
- MCP
- サブエージェント
- Hooks
- Skills / instructions
などです。
Claude Codeの印象を一言でいうと、「非常に優秀なシニアエンジニアをターミナルに置く」に近いです。
特にClaude系モデルは、実装前の設計やコードの意図を理解する能力が強く、「まず考えてから直す」傾向があります。
OpenAI Codex
Codexも同じくターミナルやデスクトップから動かせるソフトウェア開発エージェントですが、最近はかなり方向性が広がっています。
現在のCodexは、単なるコード生成ツールではなく、
複数の作業を並行して実行するソフトウェアエージェント基盤
に近づいています。
現在の主要モデル
2026年10月時点では、Codexで特に重要なのが次の3モデルです。
| モデル | 特徴 | 向いている用途 |
| GPT-6.1 Sol | Astraに迫る性能と高いコスト効率 | 複雑な開発、長時間Agent |
| GPT-6 Sol | 高性能な汎用Agent | 通常〜高度な開発 |
| GPT-6 Luna | 非常に高速・低コスト | 軽作業、大量処理 |
OpenAIはGPT-6.1 Solを、複雑なコーディング、コンピューター操作、専門業務でAstraに迫るモデルと位置づけています。100万トークンあたり入力2ドル、出力10ドルです。
GPT-6 Lunaは、速度とコストを重視したモデルです。OpenAI自身も「focused, high-volume tasks」に向くモデルとしています。
以前のGPT-5.6世代に比べ、GPT-6 Sol / Lunaは価格も大きく下がっています。OpenAIはGPT-5.6のプロモーション価格に比べ50%安くなったと説明しています。
Codexの特徴
現在のCodex CLIには、
- Agent view
- マルチエージェント
- Git Worktree
- 音声
- 使用量確認
- Mermaid / LaTeX表示
- タスク分岐
- 他Agentのtaskのread / fork
などが入っています。
特に面白いのは Worktreeとマルチエージェント です。
例えば、
Codex
├─ Agent A → API実装
├─ Agent B → テスト
├─ Agent C → ドキュメント
└─ Agent D → レビュー
のように作業を分け、それぞれ別のGit Worktreeで並行実行できます。
GPT-6.1 Solはベータ版のマルチエージェントにも対応しています。
Claude Codeが「一人の非常に優秀なエンジニア」という印象なら、Codexは最近、「複数の実働エージェントをまとめて動かす開発環境」に寄ってきた印象があります。
- Hermes Agent
HermesはClaude CodeやCodexと少し性格が違います。
Nous Researchが開発しているHermes Agentは、特定のLLMに依存しません。
つまり、
Hermes
↓
Claude
GPT
Gemini
DeepSeek
Qwen
Grok
MiMo
など
と、頭脳を自由に入れ替えられるのが大きな特徴です。
公式のNous Portalでは300以上のモデルを切り替えて利用できます。
Hermes自身のモデルもある
Nous Researchには、
- Hermes-4-70B
- Hermes-4-405B
という独自モデルがあります。
これらは数学、科学、指示追従、構造化出力、長文などに強いHybrid Reasoningモデルです。
ただし、ここが少し意外です。
Nous自身が、
Hermes-4をHermes Agentのメインモデルとして使うことは推奨していない
と説明しています。
Hermes-4は会話・推論向けで、Agentが必要とする高速なTool Callingループには最適化されていないためです。
つまり、
Hermes Agent ≠ Hermesモデル
です。
これはかなり重要です。
Hermes Agentは「器」で、その中にClaude、GPT、Gemini、DeepSeekなどを入れて動かします。
Hermesの最大の特徴は「エージェントそのもの」
Hermesは、コーディング専用ではありません。
公式にも「IDEに縛られたCoding Copilotではない」と明記されています。
できることは非常に多く、
- Terminal操作
- ファイル操作
- Web検索
- ブラウザ操作
- MCP
- Memory
- Skills
- Cron
- サブエージェント
- Discord
- Slack
- Telegram
- 音声
- 画像認識
- 画像生成
- TTS
- API Server
などを持っています。
現在のHermesには約100種類のBuilt-in Toolがあります。
Memoryが強い
HermesにはセッションをまたぐMemoryがあります。
MEMORY.md
USER.md
Skills
Session history
などを使い、
前回何をやったか
ユーザーがどういう環境を使っているか
過去に成功した手順は何か
を蓄積できます。
さらに、Hermesは経験した作業からSkillを作成し、そのSkillを後から改善する「learning loop」を特徴としています。
これはClaude CodeやCodexと比べても、かなりHermesらしい部分です。
Hermesはモデルを役割ごとに分けられる
これも面白い機能です。
Hermesでは、
Main model
↓
Agent全体の判断
Auxiliary model
├─ Vision
├─ Context圧縮
├─ Web要約
├─ Skill検索
├─ MCP routing
└─ Approval判断
というように、仕事ごとにモデルを分けられます。
例えば、
Main → Claude Sonnet
Vision → Gemini
Summary → Luna
Routing → 軽量モデル
といった構成も可能です。
これはコスト最適化にも効きます。
サブエージェントもかなり強力
Hermesにはdelegate_taskがあり、子Agentを生成できます。
各子Agentは、
- 独立したcontext
- 独立Terminal
- 制限されたtool set
を持ち、複数タスクを並行実行できます。標準では3つまで同時実行できます。
さらにexecute_codeを使うと、LLMがPythonを書き、そのPythonからHermesのToolを直接呼べます。
つまり、
LLM
↓
Python
↓
Web Search
↓
抽出
↓
フィルタリング
↓
結果だけLLMへ
という処理ができます。
大量のTool結果をすべてLLMのContextへ流さずに済むので、かなり合理的です。
Claude Code・Codex・Hermesを比較
ここまでを整理すると、次のようになります。
| Claude Code | Codex | Hermes | |
| 主目的 | Coding Agent | Software Agent | 汎用Agent |
| 開発元 | Anthropic | OpenAI | Nous Research |
| モデル固定 | Claude中心 | GPT中心 | 自由 |
| Terminal | ◎ | ◎ | ◎ |
| File操作 | ◎ | ◎ | ◎ |
| Git | ◎ | ◎ | ○ |
| Worktree | ○ | ◎ | ○ |
| サブAgent | ◎ | ◎ | ◎ |
| Web | ◎ | ◎ | ◎ |
| Browser操作 | ○ | ◎ | ◎ |
| MCP | ◎ | ◎ | ◎ |
| Memory | ○ | ○ | ◎ |
| Skills | ◎ | ◎ | ◎ |
| Cron | △ | Automation等 | ◎ |
| Discord / Slack | △ | △ | ◎ |
| モデル切替 | △ | GPT内 | 非常に強い |
3つは競合というより「階層が違う」
個人的には、Claude Code・Codex・Hermesを同じカテゴリーで比較するだけでは少し違うと思っています。
むしろ、
Hermes
↓
┌──────────────┐
Claude Code Codex
└──────────────┘
と考える方が自然です。
Claude CodeとCodexは実際にコードを書く実働部隊。
Hermesは、その上で
どのAgentに何をさせるか
を判断する司令塔です。
この構成なら、
「この仕様を実装して」
↓
Hermes
↓
まず設計を判断
↓
Claude Code → 設計・レビュー
Codex → 実装
Gemini → 調査
DeepSeek → 補助推論
↓
Hermes
↓
結果をまとめる
という構成が可能になります。
私が現在考えている構成
現在は、
Orca / Multica
↓
Hermes
↓
Claude Code / Codex / Grok / Gemini / DeepSeek
という構成を試しています。
OrcaとMulticaは上位のAutomation・Task・Agent管理。
Hermesが判断とオーケストレーション。
そしてClaude CodeやCodexなどが実際の仕事をする、という考え方です。
この構成にしてから、CursorやVS Codeのような「Editor + Agent」とは少し違う方向に進んできました。
CursorやVS Codeでは、
Editor
↓
Agent
ですが、今考えているのは、
Agent
↓
Tools / Coding Agent / Editor
です。
エディタが中心なのではなく、Agentが中心にあり、必要に応じてコードやツールを操作する。
今後のAI駆動開発は、こちらの方向に進む可能性が高いと感じています。
まとめ
Claude Code、Codex、Hermesは、それぞれかなり性格が違います。
Claude Code
は、Claudeの高い推論能力を使った「強力な開発エージェント」。
Codex
は、GPT-6系を中心にWorktreeやMulti-Agentを活用する「実行力の高いソフトウェアエージェント」。
Hermes
は、Claude・GPT・Gemini・DeepSeekなどを自由に組み合わせ、Memory・Skills・Cron・MCP・サブAgentまで統合する「汎用オーケストレーター」。
という位置づけです。
今後は「ClaudeとGPTのどちらが賢いか」というモデル比較より、
どのAgentを司令塔にして、どのモデルに、どの仕事を割り振るか
の方が重要になってくるのではないかと思います。
特に2026年に入ってからは、Claude Code、Codex、Hermesだけでなく、Orca、Multica、OpenClawなども急速に進化しており、AI駆動開発は「モデルの競争」から「エージェント構成の競争」へ移りつつあると感じています。
※本記事は2026年10月4日時点の公開情報をもとにしています。Claude、GPT、Hermesはいずれも更新速度が非常に速いため、モデルや機能は今後変更される可能性があります。


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